先輩メシ


目次
Specialダイジェスト
第1話:「先輩メシ」は、こうして生まれた。
第2話:先輩を越えるのは、後輩の仕事だ。
第3話:自分という「木」を育てる人を増やしたい。

 

インタビュアー兼運営 丸橋俊介(写真左)
社会人4年目、広告代理店営業。宣伝会議主催のコピーライター養成講座「先輩コース*」で講師の阿部広太郎さんに出会い、阿部さんが主催する講座「企画メシ**」へ通い、修了する。趣味は、銭湯・映画・競馬・サンバなど。得意な企画は、乾杯の企画。
*宣伝会議コピーライター養成講座「先輩コース」
…出版社宣伝会議が運営する若手向けの講座。先輩コピーライターから成功へのヒントを学ぶ。
**企画メシ
…正式名称は、「企画でメシを食っていく」。毎回、現場の第一線で活躍中のゲスト講師を、様々な業界から呼び、企画する力を多角的に身につけていく。


 

「先輩メシ」は、こうして生まれた。

丸橋:みなさん、豚汁はお持ちでしょうか。ではいきます、せーのっ!

会場:いただきまーす!

豚汁片手に、真剣に耳を傾ける会場のみなさん。

丸橋:まずは先輩メシってなんだと思っている方も多いと思うので、簡単に説明します。このイベントは、宣伝会議のコピーライター養成講座「先輩コース*」の一期生のメンバーが中心となって運営しています。そもそものきっかけは、フェイスブックの投稿にコメントした僕の一言でした。阿部さん、この話覚えていますか?

阿部先輩:はい、覚えていますよ。

丸橋:「企画メシ**」の同期が、阿部さんを長野に招いてトークイベントを主催するという投稿に「がんばれ!」とコメントしたところ、阿部さんから「先輩コースでも何かやろうよ!」と返信をいただきまして……、すぐ先輩コースのグループLINEに「阿部さんから発破をかけられています!」と焦って共有しました(笑)

会場:(笑)

丸橋:そこから具体的にどんなイベントにするのか打ち合わせを重ね、たどり着いたのが「みんなで同じ釜のメシを食べる」というコンセプトです。先輩と一緒に豚汁を食べるトークイベントにしたら楽しそうだし、部活っぽくて一体感が増すよねと。さっきの「いただきます」の一言でも、会場の空気が一つになりましたよね。

阿部先輩:気持ちが繋がる感じというか。

丸橋:そうです。同じ釜のメシを食べることで自然と会場の熱気が高まって、みんなが仲間になっていくような。そんな空気をつくれたらいいなと思ってこのイベントは生まれました。それでは改めてご紹介します。先輩メシの記念すべき第一回目のゲストは、僕たちの心に火をつけてくださった、コピーライターの阿部広太郎さんです!

阿部先輩:よろしくお願いします!ぜひお手元の豚汁を飲みながら聞いていただけたらと思います。

今日の先輩は…

阿部広太郎 先輩

1986年生まれ、コピーライター。「世の中に一体感をつくる」という信念のもと、言葉を企画し、コピーを書き、人に会い、繋ぎ、仕事をつくる。宣伝会議コピーライター養成講座「先輩コース」講師。2015年より、BUKATSUDO講座「企画でメシを食っていく」を立ち上げる。現在、2017年の企画メシ第3期に向けて準備中。初の著書『待っていても、はじまらない。―潔く前に進め』(弘文堂)を出版。

 

先輩を越えるのは、後輩の仕事だ。

(1)阿部さんにとっての“先輩”とは。

阿部先輩:僕はこのイベントの趣旨がすごくいいなと思っています。先輩と後輩の間に脈々と受け継がれてきて、人類の今がある訳ですよね。先輩・後輩の間で伝えたいことをテーマにするのが良いなと。今日は先輩として呼ばれていますが、“僕が20代の時、イチ後輩として先輩から学んできたこと”を話せたらと思います。何かしら感じてもらえればうれしいです。

丸橋:ありがとうございます。ではさっそく、最初の質問です。そもそも阿部さんにとって、先輩ってどんな存在ですか?

阿部先輩:僕にとって先輩とは、“未知の人”ですね。年齢や年次、立場ではなく、自分の知らないことを知っている人かなと思います。そういう意味では同世代のパパやママ、全然違う仕事に就いている人も、僕にとっては先輩です。年下であっても先輩に当たることがあるので、あまり年齢に対してのプライドを持たない方がより多くのものを得られると思います。

阿部先輩:今日は、これまで先輩から学んだことを“先輩からもらった10の言葉”という形で、みなさんにお話ししていきますね。

10の言葉を紹介する阿部先輩

 

(2)就活で気付いた、個人の可能性と会社の限界。

阿部先輩:まず就職活動をしてた時の話をしますね。丸橋くんは、就活で意識していたことってありますか?

丸橋:ぼく、好きなものがいっぱいあったんですよ。ビール、映画、鉄道、旅行…。だからその好きなものがいっぱいある中で、それらに関われるチャンスの多い業界に進みたいなぁと思って。それで、メーカーなどの企業ではなく広告業界を選びました。

阿部先輩:なるほど。僕の場合はまず、就活の姿勢を意識しました。ネットで検索すれば情報が出てくるような時代だからこそ、“本当の言葉”とか“本心”をちゃんと聞きたくて。とにかく足で稼ぐということを肝に命じて、ひとに会いにいくところからはじめました。数でいうと、電通の方に43人、博報堂の方に16人お会いしました。

丸橋:すごい人数ですね……。どうやって訪問先を見つけたんですか?

阿部先輩:最初は兄の友人からスタートしました。実際に会って話しているときに話を聞くだけじゃなくて、自分の考えを伝えてみたり、あの部署の人の話がどうしても聞きたいと具体的にお願いしてみたりして、なんとか広げていきました。先輩も面白い学生だったら、その人のことをだれかに紹介したくなりますよね。丸橋くんもそういう経験ないですか?

丸橋:ありますね、わかります。

阿部先輩:そうやって次々と紹介していただくことで、たくさんの人に会うことができました。その中で印象に残っている言葉が一つあります。それはある先輩が教えてくれた「個人の限界はないけど、企業の限界はある」というフレーズです。これがどういう意味かというと、たとえば商社に入って映画の仕事に関わろうとすると相当難しいとか、オリンピック関係の仕事ができる広告会社は限られているとか。当時の自分にとって「ひとつの会社が完璧じゃない」「その会社が人生のすべてじゃない」と感じられたことは、新しい視点でとてもよかったです。よく、「会社人になるか、社会人になるか」っていう話があるんだけど…

丸橋:聞いたことがあるような……。

阿部先輩:あるようなないような(笑)。「会社に染まるのではなく、本当の意味で社会を生きる人間になろう」っていう話で、一社の価値観から見える世界は、社会のごく一部でしかないので、社会の中で役立つことをしなくちゃいけないよねっていうことを、最近も考えています。

 

阿部先輩は今でも様々な人に会い続けているのだそう。

 

(3)テニスと一緒で、打ち返さないと!

阿部先輩:次にもらったのは、会社の先輩からの言葉でした。僕は今の会社から内定をいただいき、最初は人事局に配属されました。そこでメンターになってくださったのが兄貴的先輩で。その先輩の行動を真似したいと思うようになった出来事があります。ある日の夜に先輩から着信があり、時間も時間だったので、次の日にかけ直せばいいかなと。翌日、先輩から言われたんです。「テニスと一緒で、ボールが来たら打ち返さないと!気づいていますよというアクションはしたほうがいいよ」と言われたことは、僕にとって大きな学びでした。

丸橋:具体的には、ショートメールとか。

阿部先輩:そうそう。ボールは手元に残しておかず、即レス・即返信をした方がいい、ということに気づいたんです。スピード感を持って、自分で判断しながら「言葉を出力する」ようにすると、前に進む力が増しますよね。あまり迷わず瞬時に判断することは、ものごとを決めていく力に繋がります。

丸橋:僕も先輩に「デキる営業はとりあえず何か反応するよ」と言われたことがあります。

阿部先輩:時間をかけて100%で返すのではなく、60%でいいからすぐ返したほうがいい。ボールを持ちすぎると不安にもなりますし。それに気分の良い連絡の往復によって、信頼を蓄積していけるということにも気づきました。そうなると、リアクションが遅れたときに、逆に心配してもらえるようにさえなる。即レス・即返信をやっといてよかったなと思いました。

阿部先輩はこのイベントの連絡も即レス・即返信でした。

 

阿部先輩が“先輩からもらった10の言葉”
1「個人の限界はないけど、企業の限界はある」
2「テニスと一緒で、ボールが来たら打ち返す」

 

第2話に続きます。


この記事は2017年2月19に公開されたものです。